ライフ

創業257年「玉ひで」 伝統を守りつつ常に味の進化を追求

創業257年、「玉ひで」の軍鶏のすき焼き(五鉄コース)

 宝暦10(1760)年、徳川家治が江戸幕府第10代将軍に就いた年に創業。将軍の前で鶴の血を1滴も見せず、骨と身に切り分ける包丁技を「御鷹匠仕事」といい、幕府に仕えていた山田鐵右衞門が軍鶏料理店を開いたのが始まりだ。

 東京・人形町の「玉ひで」といえば、明治時代に考案された「親子丼」が有名。だが、江戸時代から親しまれてきた「鳥すき(軍鶏鍋)」こそ食してほしい。軍鶏肉は熟成させると更に旨味が増すといわれる。引き締まった肉は、醤油と味醂のみで作られた秘伝の割り下に良く絡み、日本酒がほしくなる。

 池波正太郎の『鬼平犯科帳』でお馴染みの軍鶏料理屋「五鉄」にちなんだ名物「五鉄コース」は、軍鶏のすき焼きのほか、名物の親子丼、鳥料理など4品にプリンがつく。鶏皮を最初に入れ、薄くスライスされた胸肉、もも肉、つくねと具を入れると、甘辛い香りが部屋中に立ち込める。

「時代により味の嗜好は変わっていくものなので、少しずつ割り下を変化させています」と8代目・山田耕之亮氏。250年以上続く伝統を守りながらも常に進化する味を求め、今日も人々は行列をつくる。

【玉ひで】
住所:東京都中央区日本橋人形町1-17-10
営業時間:[昼]親子丼11時半~13時、コース料理11時半~14時(13時受付終了)[夜]平日17~22時(21時LO)、土・日曜・祝日16~21時(20時LO)
休日:年末年始、夏季に臨時休業あり

撮影■岩本朗 取材・文■戸田梨恵

※週刊ポスト2017年6月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
《政治責任の行方は》維新の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 遠藤事務所は「適正に対応している」とするも維新は「自発的でないなら問題と言える」の見解
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン