スポーツ

謎のスー女述懐 大麻騒動で角界を去った白露山の思い出

白露山の思い出(写真:共同通信社)

 相撲ブームが沸騰している。「謎のスー女」こと尾崎しのぶ氏が、現在相撲コラムを週刊ポストで執筆中。前回に引き続きロシア出身の白露山と師匠の二十山親方(元大関・北天佑/故人)について尾崎氏が綴る。

 * * *
 二十山親方の死から二週間後、北の湖部屋に移籍して七月場所の土俵に上がった白露山。気丈に「二十山親方の教えを胸に」と語ったが、その悲しみは身体を見ればわかった。十キロも減り、もともと細かった脚も筋肉が落ちきって、割り箸のようであった。成績は二勝十三敗。しかし大関・琴欧洲、前頭四枚目のパワー十分の把瑠都を下しているのだから、弔いがまったくできなかったとは私は思わない。

 親方を元気づけるために勝ち続けなければと、しっかりとした治療をしなかった左膝。それをカバーするために酷使した右膝も壊れていた。前に出る、押す、といった果敢な相撲は消え、引きの動作が頻繁に見られるようになっていたが、一日も休場はしなかった。

 完治させようと数場所休場すれば幕下に陥落し、無給になる。ロシア・ウラジカフカスの親族に多額の仕送りをしているからどんな内容の相撲でも十両に居座らなければ、と思ったのだろうか。

 いや、白露山の化粧まわしには二十山親方の娘のデザインした丸顔の、青い瞳の虎が描かれていることを記事で読んでいた私はこう思いたい。白露山は二十山親方が一人だけ育て上げた関取である。二十山の「山」、北天佑の「佑」を持つ「白露山佑太」の名(ポール牧が命名)が番付表に十両以上の太い文字で載っていることこそが、たった十二年間ではあったが二十山部屋が存在していた証しになると彼は思っているのではないか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン