仕切りのときに、クルクルと膝を回転させる。ああ、おかしくなってるんだな。休むも出るも彼自身が決めること、と思いながら、いい方向に切り替えられるといい、と願っていた。しかし……。白露山とその兄・露鵬は、もう土俵に上がらない。
二〇〇八年九月二日、国技館での九月場所前の通常の力士会の直後に相撲協会と日本アンチ・ドーピング機構による尿検査が抜き打ちで実施され、露鵬と白露山は大麻の陽性反応が出たとされた。
本人たちは大麻使用を否定。自宅マンションと所属部屋を家宅捜索されたが、大麻も関連器具も出てこなかった(国技館から警察車両で連行されたため、隠蔽する時間はなかった)。精密検査の結果、自己吸引した場合の五倍、十倍の数値の陽性反応が出たとされ八日、二人は協会から解雇された。
八月十八日に若ノ鵬が大麻所持の現行犯で検挙され、ロシア出身者は十九日に協会から薬物への関与がないか聴取されていた。大麻成分が尿に出るのは吸引から二、三日のうちだという。一般的な量の十倍を三日と置かず吸引せずにいられない中毒者の自宅に、大麻がないものだろうか。
白露山を擁護するつもりはない。ただ、二日の尿検査を欠席した力士と不鮮明な反応だった力士(いずれも日本人)は九月場所に出場、騒動真っ只中の七日にタクシー運転手に暴行を加え警察に通報された三段目力士(九州出身)は九月場所のみ全休で許されたから、不思議だな、と思った。