芸能

津川雅彦が語る兄・長門裕之というライバル

津川雅彦が兄・長門裕之というライバルを語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、芸能一家に生まれた津川雅彦が、兄の長門裕之との関係、映画会社の移籍について語った言葉を紹介する。

 * * *
 津川雅彦は、祖父が日本初の映画監督・牧野省三、父が俳優・沢村国太郎、叔母が女優・沢村貞子、叔父がマキノ雅弘監督、兄が長門裕之という芸能一家に生まれ、自身も1945年、五歳の時に子役デビューしている。

「当時、役者はまだ差別されていた時代で、一般の人は我が子を子役になんかさせたがらなくて、なり手がいなかった。それで役者の子が強制的に幼児期からやらされてたんですね。

 でも、僕は役者が好きじゃなかった。化粧をするのが嫌でね、時代劇の羽二重がかゆい、カツラが重いわ、うっとうしいわ。

 溝口健二先生の『山椒大夫』に出た時は撮影が長引き、中学を留年させられてね。その時叔父のマキノ雅弘が溝口先生のところに僕を連れてって、監督に頭を下げさせて謝らせたんです。我々はやくざ一家だなと、つくづく思い知りましたね」

 1956年、石原慎太郎原作の日活映画『狂った果実』の大ヒットにより若くしてスターになる。

「高校一年の二学期に家に帰ったら、『狂った果実』という映画に出ろ、と言われた。石原慎太郎さんがどこかで僕とすれ違って、『あの子がイメージだ』と言ってくれたらしいんですが、でも、僕は断りました。反抗期で親の跡を継ぐことに疑問を持ってて新聞記者になりたかった。それで早稲田大学附属高等学院に入っていたんですね。

 そうしたら、兄が既に慎太郎さんの『太陽の季節』で主役をして日活でスターになっていたんですが、こう言ったんです。『この映画に出た奴は必ずスターになり、俺のライバルになる。お前がこれに出て、一本で辞めて新聞記者になってくれたら、俺のライバルを消せる。だから協力してくれ』と。一本だけならいいか、というのもありましたし、兄貴の役に立つなら、と出ることにしました」

 1959年には松竹に移籍する。

関連記事

トピックス

オリエンタルラジオの藤森慎吾
《オリラジ・藤森慎吾が結婚相手を披露》かつてはハイレグ姿でグラビアデビューの新妻、ふたりを結んだ「美ボディ」と「健康志向」
NEWSポストセブン
川崎、阿部、浅井、小林
〈トリプルボギー不倫騒動〉渦中のプロ2人が“復活劇”も最終日にあわやのニアミス
NEWSポストセブン
驚異の粘り腰を見せている石破茂・首相(時事通信フォト)
石破茂・首相、支持率回復を奇貨に土壇場で驚異の粘り腰 「森山裕幹事長を代理に降格、後任に小泉進次郎氏抜擢」の秘策で反石破派を押さえ込みに
週刊ポスト
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
2020年、阪神の新人入団発表会
阪神の快進撃支える「2020年の神ドラフト」のメンバーたち コロナ禍で情報が少ないなかでの指名戦略が奏功 矢野燿大監督のもとで獲得した選手が主力に固まる
NEWSポストセブン
ブログ上の内容がたびたび炎上する黒沢が真意を語った
「月に50万円は簡単」発言で大炎上の黒沢年雄(81)、批判意見に大反論「時代のせいにしてる人は、何をやってもダメ!」「若いうちはパワーがあるんだから」当時の「ヤバすぎる働き方」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
“トリプルボギー不倫”が報じられた栗永遼キャディーの妻・浅井咲希(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》女子プロ2人が被害妻から“敵前逃亡”、唯一出場した川崎春花が「逃げられなかったワケ」
週刊ポスト
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン