関根氏は東芝でのキャリアの半分近くを、出向先の子会社で過ごしてきた。勤務先は岩手にある工場。そこでは技術開発だけではなく、社外への営業にもかかわってきた。その経験も貴重な財産になっている。
「地方工場は受け身に回ってしまうことが多いのですが、それでは新製品の製造は主流の工場に奪われてしまいます。ですから私は常に新たなチャレンジをし、客先をも巻き込むようなアピールを欠かしませんでした。
それは今も変わりません。私は“まさかの上司は真の上司”で、苦しい状況でも周囲にあたらずどっしり構えようと自分に言い聞かせてきました。今の東芝の社員にもそう伝えたい」
東芝が輝いていた時代、必ずしも恵まれていない現場を経験した関根氏は、そう後輩たちへエールを送る。
※週刊ポスト2017年7月21・28日号