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受動喫煙防止 「十把一絡げの規制は軋轢を生む」と法学者

受動喫煙防止は「方法と程度」の議論が重要

 他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙問題は、その程度を超えて屋内など“全面禁煙化”の方向へと規制が強まりつつある。だが、嗜好品であるたばこが法で認められている限り、喫煙者を一方的に排除しても何ら解決には繋がらない。

 果たして、法規制で雁字搦めにしなければ節度やマナーを守った「分煙社会」は築けないのか──。神奈川県「受動喫煙防止条例」の考案にも携わった東海大学名誉教授(行政法)の玉巻弘光氏に聞いた。

 * * *
──いまや受動喫煙問題は、喫煙者の服やたばこの煙がかかった壁や床などからも有害物質を吸入することがあるという「三次喫煙」の被害まで叫ばれている。

玉巻:一瞬だけたばこの煙を吸い込んだり、衣服や壁などに付着したたばこの煙成分を吸入したりすることが、どれだけ直接的な健康被害につながっているかは、およそ医学的に証明されていません。

 世の中には、残念ながら車の排気ガスやアスベストなど様々な有害物質が溢れており、それを完全に排除することは不可能なため、一定の環境基準を定め、有害物質をその基準以下に抑えているわけです。

 三次喫煙などと言い出したらキリがありません。

 例えば、服を叩くと良い香りが漂うという柔軟剤があります。あれも化学物質が飛散しているわけで、過敏症の人にとっては健康上のダメージがないとは言い切れません。煙モクモクの炭火焼鳥屋や焼肉店で肉を焼いたときに発生する煙だって有害物質がまったく含まれていないとは言い切れません。

 つまり、明らかな健康被害が検証されていないにもかかわらず、ただ「煙や臭いが不快だから規制しろ」などというのは、情緒論に過ぎません。

 受動喫煙問題も健康被害をもたらすものと、健康被害を生ずることが確認できていないものと両者の違いを議論せずに、十把一絡げで“坊主(喫煙者)憎けりゃ袈裟まで”と喫煙すべてを規制しようとするから、軋轢が生じるのです。

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