また、危険ドラッグが再び蔓延しつつある理由については、かつて税関が監視の目を光らせ、徹底的に薬物の国内流入を防いだ水際作戦、流入後は当局と連携を取りながら追い詰めたことで壊滅状態にあった流通ルートの復活、というのも大きなポイントだ。首都圏で違法ドラッグの“売人”として生活するO氏は、税関や当局が、以前ほど危険ドラッグの取り締まりをしていないという感触を指摘しつつ、流行の「民泊」を使い、大麻や危険ドラッグを捌いている実態があると説明する。
「予約した民泊に、海外からの荷物を期日指定で届けさせます。掲示板などで“簡単なアルバイト”で募集をかければ、クレジットカードで民泊の予約を代行してくれる人間はいくらでも見つかるんですね。同じような方法で海外から密輸するパターンもあります、金塊みたいにね。ただ、摘発される可能性が今は高くなってきたため、もうこの方法は終わりかも。新たなやり方が見つかったので問題ありませんが……」
その「新たなやり方」については、たずねてもかたくなに口を閉ざされた。
危険ドラッグを使用した人間がひき起こしたいくつもの悲惨な事故。何人もの人々が亡くなったのは、すでに遠い過去となりつつあるのか。