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がんで亡くなる前日に動画を残してくれた夫 家族で号泣した

亡き夫からの動画や手紙、日記は宝物に(写真/アフロ)

 年を重ねるにつれて、家族や親戚、友達ががんになったという話を聞く機会は増えていく。2人に1人が罹患する時代といわれて久しい。抗がん剤の副作用の苦しみは想像を絶するものだし、お金はいくらあっても足りない。患者自身だけでなく、家族も精神的、体力的に大変だ。それでも、この特集であえて言いたいのは、がんという現実を受け入れて、希望を失わずに生きていこうということだ。花香志保美さんは、1973年生まれ。3児(高校2年生、中学2年生、小学4年生)の母親。自営業の夫は、2008年1月に膵臓がんが発覚。手術して切除したが、2009年3月に肝臓に転移。同年11月に亡くなった。現在は、実母と3人の子供と5人で暮らしている。花香さんが語る。

 * * *
 夫が、疲れがとれないと言い出したのは2007年末。そのときは「病院へ行ったら」と軽い感じで言いましたが、膵臓に影があると言われ、がんでした。3cmほどの腫瘍があって、医者から「10年くらいかからないとこんなに大きくならない。もっと早く気づいていれば…」と言われました。

 ショックで、何も頭に入ってきませんでした。「どうしよう? どうしよう?」で頭がいっぱい。余命も言われなかったので、死んじゃうとは思いませんでした。

 亡くなったのは、2009年11月です。最期の言葉は「愛してる」でした。私もそれに答えました。自営業でしたので、子供たちもいますから、悲しんでいる暇はありません。同じ気持ちの家族とともに私はすぐに働き始めました。

 当時、長男は小学校低学年でした。長男は、周囲から「お母さんを守るんだよ」と、何度も何度も言われたようなんですね。おそらく「長男だからしっかりするんだよ」とか「お兄ちゃんだからパパの代わりになるんだよ」とか、言われたんでしょう。

 それって、プレッシャーになるじゃないですか。弟たちが寝た後、私と2人でいる時にわっと泣いて。理由をそのときは言わなかったけれど、後から、「なんでみんなあんなこと言うんだろう」ってポロッと言ってました。長男には、「みんなは心配して言ってくれてるんだよ」って言いましたけど、重荷だったみたいです。今でも、子供たちから「パパが今生きていればよかったのに」と言われることがあります。

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