ここまで個別の疾病とその治療薬についてデータを紐解いてきたが、年齢を重ねれば罹患する病気が複数になることもある。特に、新たな疾患にかかった場合は注意が必要だ。

「例えば、降圧剤を服用している高血圧の患者が腎臓病を患うと、降圧剤が腎臓の血流を悪くして腎臓病を悪化させます。このような“負の連鎖”を生み出さないためにも、持病が増えたら自分の医療状態を正確に医師に伝えることが必要です」(石原医師)

 日本の医療界にはこうした“負の連鎖”が生まれやすい土壌があると長尾クリニックの長尾和宏医師が指摘する。

「製薬会社は薬価の高い新薬を使ってもらうために大病院の医師にプロモーションをかける。また、医師は薬をやめて患者の容態が悪化することを懸念する。臓器別で縦割りの学会は製薬会社の意向を忖度したガイドラインを作り、杓子定規にそれに沿った投与を推奨している側面もある。

 適切な投薬を行なおうとしても、患者が『整形外科』『循環器科』といった複数の診療科をまたがって受診している場合には、それぞれの医師が薬をバラバラに処方してしまうため、“負の連鎖”が生まれてしまう。

“患者ファースト”とはほど遠い治療を避けるためには、患者側も“薬頼み”にならないよう、生活習慣を見直すなどの意識変革が必要です」(長尾医師)

 日本は薬の「安全神話」が根強い。だが安全を盲信することが最も危険なのだ。

※週刊ポスト2017年8月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン