専有部分の面積割合で議決権を定めると膨大な分母で計算される複雑な割合になることが普通であり、これを避けるため、一戸一議決権とする例も見られます。

 そこで理由はともかく、各戸の議決権に差をつけることができないことではありません。ただし、上層階住民が価格を反映した議決権を持つためには、集会で規約を変更しなければなりません。それには、集会で区分所有者の頭数の4分の3以上で、かつその時点の議決権の4分の3以上の賛成が必要です。総会出席者基準ではなく、すべての区分所有者を前提とするので、ハードルは高いと思います。

 高層階の議決権を大きくするのであれば、それだけ共用部分の経済的恩恵を受けているはずですから、管理費などの共益費負担を大きくしないと合理的ではありません。また、共用部分の固定資産税の負担は専有面積割合によるので、その調整も必要です。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2017年8月4日号

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