これまで実業団チームからの誘いがまったくなかったわけではない。ただ、何度かあった勧誘は、いずれもタイミングが悪かったと振り返る。
「よく市民ランナーにこだわっているとか言われますが、別にそういうわけでもないんです。学生時代の早い時期に実業団に誘われていたら行っていたと思いますし、私に声がかかったのは、すでに公務員試験に向け、かなり勉強を進めていた時期だったのです。
卒業後も声をかけていただいたことはありましたが、2011年には1人でやっていても2時間8分台が出ていますし、そうなったら今更ってなりますよね」
●かわうち・ゆうき/1987年3月5日、東京都生まれ。埼玉県久喜市立鷲宮中、県立春日部東高を経て学習院大学へ。大学卒業後は2009年に埼玉県庁に入庁し、2014年4月より久喜高校(定時制)の事務職に。フルマラソン70戦で優勝25回。2013年3月のソウル国際マラソンで自己ベストの2時間8分14秒をマーク。五輪出場は2大会連続で逃したが、世界陸上は2011年と2013年に続き、ロンドン大会が2大会ぶり3度目の出場となる。175センチ、62キロ。
■取材・文/栗原正夫 ■撮影/岸本勉
※週刊ポスト2017年8月11日号