CMは時代を反映しているとよく言われるが、最近も時代を反映してかある傾向のCMが増えている。それは、イケメンの俳優たちがその商品になりきったり、執事になったりして女性に語りかけるというものだ。それらを「男妖精CM」と呼ぶコラムニストのペリー荻野さんが、増加の背景について分析する。
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最近、「そこにいるわけがない男」が女性たちに語りかける「男妖精CM」が増えている。その代表が、メナードの新薬用ビューネ、竹内涼真の「ビューネくん」だ。興味深いのは、1999年に登場した初代ビューネくんの藤木直人が「バカだな、オレがいるよ」とちょっと上から男系だったのが、2代目押尾学、3代目松田翔太を経て、4代目の竹内ビューネくんには、4つのパターンがあること。
たとえば「大人ビューネくん」は、暗い部屋にひとり戻り、むっつりしたままシャワーを浴びた女性の前にすっと現れ、タオルで髪をふきふきしながら、じっと彼女を見つめる。そして語りかけるのだ。「なんか、あった?でも、肌の調子はいい感じ」。何と優しい!
また「理系ビューネくん」は、友人カップルのお祝い帰りの彼女の状況を次々と分析。祝いの品が「お皿の確立95%」なんてことも予想する。この他、元気のいいエールをくれる「熱血ビューネくん」、じっと見つめて話を聞いてくれる「うなずきビューネくん」もいる。…男妖精のニーズも細分化してきているのである。
もうひとり、妖精度をアピールしているのが、グリコの「カフェオーレ執事」こと千葉雄大だ。ドラマ『家売るオンナ』で王子と呼ばれるほど住宅購入希望の女性たちに大人気の営業マンを演じた千葉は、このCMでは、茶色の執事の姿でにっこり。