その手の上には、スーツの上着を脱いでバッグを横に置き、ソファに腰かけたミニチュアサイズの女性が。そこで千葉は、「ひとゆるみしない? カフェオーレでごゆっくり」とお薦めする。女性はその言葉通り、カフェオーレを一口飲んで、ほーっとした表情に。千葉がカメラに向けてバッチリ妖精目線なのも面白い。
また、個性派では、ムロツヨシのマンガアプリ『ピッコマ』CM。黄色い眼鏡をかけたムロは、ピッコマの化身として、自宅でスマホ片手にマンガを読む女性の横で、マンガを朗読する。恋愛マンガでドキドキさせたり、恐怖マンガでハラハラさせたり。ムロらしいリアルかつ盛り上げ型の演技が見物だ。
男妖精CMの特長は、主役である女性たちをどこまでも楽しませたり、励ましたり、癒したりすること。本来、女性ターゲットの商品は、女性のイメージキャラクターが「私も使ってます」と共感を喚起するものが多いが、その場合、キャラクターのイメージが強すぎて、「あのタレントは嫌い」となると、かえって逆効果ということもありうる。その点、立場が異なる妖精ならば、共感のゴリ押しもなく、受け入れられやすい。
思えば、嵐の松本潤と相葉雅紀出演の「ジュレーム」のCMも締めくくりは「ジュレーム!!」と叫ぶのが定番。あれを女性キャラがやったら、イメージは全然違うものになっていたはず。
「ゆうちょ」ではゆうちょの化身、ゆうちゃんこと本木雅弘、「アフラック」では2万年生きた男加藤諒なども妖精度が高い。ナイスな男妖精たちが、そっといいモノを薦めてくれたら、それが心地よい。モノと情報があふれる今、この傾向はまだまだ続きそうだ。「男性タレントは妖精になったら一人前」そんな時代もくるかもしれない。