ライフ

日露戦争でロシアに敗北を認めさせた「小村チュー公」

同僚には「小村チュー公」と呼ばれた 近現代PL/AFLO

 薩長藩閥が権勢を拡大した明治の日本。歴史家・八柏龍紀氏は「賊軍として長く不遇をかこちながらも、官軍権力への反骨精神をバネに近代日本の礎を築いてきた人々がいたことを忘れてはならない」と指摘する。ここでは小村寿太郎を紹介する。

 * * *
 封建的身分制に埋没していた古い日本に「文明開化」という曙光が浴びせられ、近代的な教育制度が導入されて四民平等の明るい国になった多くの日本人は明治維新にこんなイメージを抱いているはずだ。

 だがそれは正しくない。維新の原動力となった薩長藩閥勢力が「勝ち組」として顕官や要職を独占したのが明治国家の実態であり、賊軍とされた東北諸藩や規模の小さい藩の出身者は「負け組」としてほとんど出世の糸口がつかめない「格差社会」だった。

 日向国飫肥藩(現宮崎県日南市)の下級藩士小村家の長男として生まれた小村寿太郎も本来は「負け組」の一人だった。地味な小藩出身の上、身長は150cmに満たず貧相な顔をしており、見た目でも多くのハンデを抱えていた。

 だが小村は幼い頃から勉学に励み、明治3年に藩の貢進生(奨学生)として大学南校(東京大学の前身)に入学した。さらに第一回の文部省海外留学生に選ばれてハーバード大学で法律を学び、帰国後は司法省を経て外務省に入省。外務大臣として辣腕を振るった陸奥宗光に認められ、外交官として華々しい出世街道を歩んだ。

 その容姿から、他国の外交団からは「ねずみ公使」(ラット・ミニスター)と蔑まれたばかりか、同僚からも「小村チュー公」と呼ばれたが、そんな小村を一躍有名にしたのが日露戦争後のポーツマス会議だった。

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン