役の中の人格と私生活の人格は別モノとはいえ、今回の役はリンクしている部分がある。沢村さんがどう生きてきたかということは、芝居の裏打ちになっているはずです。記憶が戻らない状況でも実が家族のところに帰ることを選ぶというシーンも、いろいろな思いがある中で演じていたのだろうな、と想像せずにはいられませんでした。
奥茨城に戻った実は、農業をしながら元の生活を始めています。視聴者も、「これでゆっくりと記憶を取り戻せばいいな」と思いながら見ているでしょう。実が田植えをしながら「なんでできんだっぺ」と自分自身に驚いた時に、実の父(古谷一行)が「体が覚えてんだっぺ」というシーンも、見ていて安心させられました。
ただ、東京の川本世津子のことでまだ何かありそうだな、という波乱の余地も残しています。置き去りにされた彼女もかわいそうな人間の一人。実と川本世津子が果たして「一線を越えたのかどうか」は視聴者にとって謎ですが(笑い)、そんな“ゲスの勘ぐり”を寄せ付けないような純愛ぶりもうかがえる。仮に一線を越えていたとしても、あの状況では責められませんけどね。今後、二人の関係がどう描かれるか、それを役者さんたちがどう演じるかも注目したいところです。