県立岐阜商業を卒業後、早稲田大を経て松下電器(現・パナソニック)で野球を続け、監督も務めたアマチュア球界のエリートが、秀岳館の指揮官に就任したのは2014年4月だった。
「私は高校野球の監督が職業とは思ってない。こんな安い給料のところにわざわざ行きますか? すべて野球界の活性化のためです」
サイン盗み疑惑に関しては、「責任逃れしたつもりは毛頭ない」と断言。
「(疑われた)本人に聞いてみたら、相手のサインは分からなかった、と話していました。盗もうとしたことは事実です。でもね、どこの学校もやっていますよ。20年以上、解説をしてきましたから、プレーを見ていれば分かります。ただ、全国に恥をさらしました」
件の敬遠については「あなたはどう思いますか?」と逆質問してきた。招待試合とはいえ無意味に打者を敬遠するのは無気力試合と同じようなものだと私は主張した。
「僕はそうは思わない。多くの熊本の野球ファンが清宮君のバッティングを見に来ていた。早実は2日間で4試合を戦いましたが、清宮君は四死球が多かった。もう一打席あってもいいと思っただけです」
当日は、「夏の甲子園で対戦するかもしれないから」とも説明していたが──。
「そう言いましたよ。だけど、僕は早実の投手陣では(西東京大会で)東海大菅生に負けるんじゃないかと思っているから。熊本のファンには、本当に最後のチャンスだと思ったんです」
鍛治舎が予見した通り、早実は西東京大会決勝で東海大菅生に敗れた。その慧眼にも驚かされた。