もちろん二ツ目が元気なのは芸協だけではない。落語協会にもトボケた味わいの柳家わさび、女性目線の新作で人気の三遊亭粋歌、アイドル的な春風亭ぴっかり☆等がいるし、立川流では談笑の弟子の立川吉笑と立川笑二、女性ながら男前な立川こはる(談春の弟子)といった「談志の孫弟子世代」の活躍が目立つ。
今、才能ある二ツ目が伸び伸びと活躍できるのは、近年の落語界を取り巻く「自由な空気」があればこそ。それは、2005年以前にはなかったものだ。
●文/広瀬和生:1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『僕らの落語』など著書多数。
※週刊ポスト2017年9月1日号