もっとも、コンピューターを使わず、個人名を簡単に検索できるような整理もしていなければ取扱事業者に該当しないので、個人情報保護法の規制はありません。ですが、知っている特定人の携帯電話番号を連絡網に載せ、一定範囲の人であるにせよ、公開することはプライバシーの侵害として不法行為になるのではないかという問題にもなります。
実際の被害は通常考えられず、目的も正当ですから、受忍限度内といいたいのですが、本人が連絡網に加わらない不便を承知の上、明瞭に拒否している情報を公開すると、いくばくかの精神的苦痛を与えることは否定できず、避けるべきでしょう。説得しても応じなければ、拒否している人を除外した連絡網を作るしかありません。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2017年9月8日号