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明治維新・廃仏毀釈で日本の貴重な文化財が流出、もう戻らない

鹿児島県日置市の園林寺跡には廃仏毀釈の傷跡が今も残されている 写真提供:日置市教育委員会

 日本の歴史が大きな転換点を迎えようとしていた中、数多くの西洋文化が流入する一方、日本から貴重な文化が失われた。特に深刻な傷を残したのが、明治新政府が国家神道を柱に据えた裏で起きた「廃仏毀釈」運動だった。

 米ニューヨークで2014年に開かれた世界的オークション会社クリスティーズの美術オークション。そこで1体の仏像が出品され、日本の仏教美術関係者の度肝を抜いた。

 その仏像とは、「乾漆十大弟子立像」の1体だった。十大弟子とは、仏教の教祖・釈迦の下にいた10人の高弟のことで、その像は本来、奈良県・興福寺にその弟子たちの姿を模した10体の仏像として安置されていた。しかし現在、興福寺に残存するものは、そのうちの6体のみで、すべて国宝指定を受けている。ほか4体は歴史の経過の中で寺外へ流出したとされていた。

 それが突然21世紀になって、アメリカでの美術オークションに出現したのである。このオークションに出品された像の真贋は、調査によって興福寺から明治時代に流出したものであるということが判った。それが約150年を経て人前に現れたのだ。

 なぜ国宝級の文化財がはるか海外に流出してしまったのか、貴重な仏像が行方不明・消失の憂き目にあった背景には、明治維新が深く関わっている。「廃仏毀釈」と呼ばれる明治期に吹き荒れた大規模な仏教弾圧運動が、日本の文化を壊した面があるのだ。

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