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「日本の刑務所すら夢のような世界」北朝鮮の難民リスクは

◆暗躍するブローカー

 1989年以降、出稼ぎ目的の中国人がベトナム難民を偽装して「ボートピープル」となって九州を中心に計3498人が上陸している。この中国人(偽装難民)に対応するため福岡入国管理局は大きな負担を強いられた。その結果、2人の職員が過労死している。

 この中国の偽装難民を手引きしたのは、「スネーク・ヘッド」と呼ばれる中国の犯罪組織であった。本拠は福建省福州市とも香港ともいわれ、ニューヨークや東京に支部を持つともいわれていた。

「スネーク・ヘッド」の暗躍により、九州地方だけでなく、1992年には静岡県下田市の駅構内で挙動不審の中国人40人が密入国で摘発された。また、緊急手配で、密航者を下田の海岸に下ろしたのが台湾漁船とわかり、逃げる途中、奄美大島沖で海上保安庁に拿捕された。この年は、さらに長崎県野母崎町で17人、高知県室戸岬で88人など、台湾船や中国船を使った密航が相次いだ。

 金正恩政権崩壊後に、就労目的で日本を目指す北朝鮮難民にもブローカーが介在する可能性がある。現に、中国や第三国経由で韓国への入国に成功した脱北者には「脱北ブローカー」が関与しているケースが少なくない。

 筆者は「有事」による「難民」と、新政権樹立後の「経済難民」の両方を考慮しておく必要があると考えている。「有事」で発生した難民は、事態が沈静化したら北朝鮮へ送還すればいいのだが、「経済難民」は、北朝鮮経済が安定するまで続くことになる。

 日本は過去の政権のように問題を先送りにしてはならない。細部にわたる具体策を確立し、政府、入国管理局、警察、海上保安庁、自衛隊、地方自治体などが実際に訓練をしておく必要がある。「北朝鮮危機説」が本当だとしたら、日本に残された時間はあまりにも少ない。

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