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「和民」「白木屋」も苦戦 老舗居酒屋はなぜ飽きられたか

──そもそも、モンテローザが店舗の統廃合を進めたり、鳥貴族がメニューの値上げを発表したりしているのは、人件費の高騰も影響している。

中村:人手不足の重圧は居酒屋チェーンにとって最大の問題です。鳥貴族は上場企業のため店長クラスになるような大卒社員は集まってくるのですが、とにかく現場のスタッフの数が足りない。

 他の居酒屋チェーンでも、近年、パート・アルバイトの時給を上げても人が集まらない状態となっているため、日本語がうまく喋れないベトナム人留学生なども多く雇っていますが、その教育費だけでも大きな負担です。外国人といえども、ホール主任ぐらいまで昇進させるようなシステムを作らなければ、彼らのやる気がなくなり、接客サービスの質がどんどん落ちてしまいます。

 そのため、店舗面積や座席数の多い「大箱営業」はもちろん、新規出店が思うようにできない状況が続いています。「甘太郎」や「北海道」などを手掛けるコロワイドがM&Aを繰り返しているのは、業態開発の効率化だけでなく、人材確保のメリットも大きいと思います。

──好調な鳥貴族も600店舗に近付き巨大チェーンとなったことで、人手不足に陥り値上げに踏み切らざるを得なくなった。今後は専門居酒屋といえどもチェーン拡大は見込めないのでは。

中村:居酒屋全体のパイが縮小しているゼロサムゲームの中で、規模を追求するのは容易なことではありません。

 最終的に生き残るのは、多様化する消費者ニーズを的確に捉え、いかに品質面で妥協しないかということ。居酒屋業界は人件費だけでなく魚や野菜など原材料高の問題も直面しています。かといって、儲け重視で少しでも品質を削ってしまうと、ますます縮小均衡に歯止めがかからなくなります。

 そのうえ、今後はファミリーレストランや回転寿司など“ちょい飲み”需要を奪うライバル業態との出店競争も一層激しくなってくるでしょうから、いまが正念場といえます。

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