大企業経営者の基礎年金返上だけで子育て財源をまかなえるわけがない。進次郎氏の父、小泉純一郎・元首相のブレーンを務めた元財務官僚で保険数理の専門家、高橋洋一・嘉悦大学教授が指摘する。
「進次郎氏の主張は政策論とはいえない。いくら集まるかわからない年金返上分を子育て支援の『財源』にするなんて、お賽銭で予算を組むようなものです」
当然、狙いは別にある。進次郎氏ら若手議員が中心になって昨年4月にまとめた自民党の『2020年以降の経済財政構想小委員会』の中間報告には、〈社会保障を使うインセンティブではなく、使わないインセンティブを提供する〉と記されている。富裕層の年金返上論は、約3200万人の高齢者全体に向けた“年金もらうな”キャンペーンの始まりだと警戒すべきなのだ。
※週刊ポスト2017年9月15日号