◆ロンダリングし放題
このような例は過去にもある。2015年、西川公也・農水相(当時)は林野庁が創設した「森林整備加速化・林業再生事業」の補助金が交付された会社から300万円の献金を受けていたことが発覚し、引責辞任した。その後、安倍晋三首相はじめ閣僚たちに次々と補助金受給企業からの献金が発覚、返金などの対応に追われた。
今回の場合は、復興の旗振り役である吉野氏に、「被災者救済」のためのカネが流れていたという構図である。だが、吉野氏の事務所の回答は驚くべきものだった。
「当該補助金は、国の補助金にあたらないので、政治資金規正法に抵触しないと判断しております」
どういう意味か。政治資金規正法では、国から補助金を受けた企業から国会議員への寄附・献金を禁じる一方、地方自治体からの補助金については知事や地方議員への禁止規定があるだけで、国会議員については言及がない。それを根拠に吉野氏は違法性を否定しているわけだ。
しかし、前出の岩井氏は「その理屈がまかり通るなら、国会議員は地元選挙区の補助金をロンダリングし放題になってしまう。国民を馬鹿にしている」と一蹴する。
「政治資金規正法の主旨に従えば、国からだろうと県からだろうと、補助金を受けている企業の政治献金は税金の還流なのだから認められないという考え方が筋。そもそも問題の補助金は財源を国(経産省)に頼っているのだから、“国の補助金ではない”という理屈も詭弁に見える」(同前)