「糖質を制限すれば、体内から糖が無くなるわけではありません。体内の糖質が不足すると、脳が活動を維持できなくなるなど命にかかわる障害が出てしまう。それを防ぐために、筋肉を分解して糖を生み出す『糖新生』という反応が起こります」(同前)

 糖新生は、空腹とともにストレスを感じた際に脳から分泌されるホルモン「コルチゾール」によって引き起こされる。だが、筋肉を溶かしてまで糖を生成する「コルチゾール」が分泌されるほどの低血糖状態は、人体にとってかなりイレギュラーなことだという。

「低血糖状態から体を守るために、コルチゾールは糖新生と同時に、上げた血糖値を維持するために『インスリン』の効きを悪くして血糖値が下がるのを防ごうとしてしまいます。そうなると、今度はインスリンが効かなくなってしまう。その結果、血糖値を下げられなくなって、糖尿病になるという可能性が指摘されているのです」(同前)

 高齢者はそのリスクがより大きくなるという。

「高齢者は加齢にともなって筋肉繊維が細くなり、筋肉が衰えている。その状態で糖質制限により『糖新生』が起きると、筋肉がさらに衰えてしまいます。

 筋肉が衰えすぎてしまうと、L-システインというアミノ酸の血中濃度が増し、さらにインスリンの効きが悪くなって血糖値を低くコントロールできなくなることが研究でわかっています」(同前)

 糖質を制限するとインスリンが効きにくくなるうえに足腰が衰え、それがさらなる糖尿病リスクを生じさせる。「糖尿病パラドックス」は「負のスパイラル」に発展しかねない、という指摘である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン