TAECO社で重整備を受けた貨物機の燃料計が誤作動し、再点検すると燃料タンク内部に「整備マニュアルの紙片が散乱」していた。中国での重整備時に、TAECO社の整備士がマニュアルをうっかり置き忘れていたのである。組合側はその後もTAECO社が整備した機体にトラブルが続いたことを問題視。『乗員速報』では、2007年だけで実に10件ものTAECO社絡みの不具合が発生したことが大きく取り上げられた。
◆“重大事故”は起こしていない
2007年にはエンジンに燃料を送る管の取り付けミスによる燃料漏れも続発した。フライト後の発見もあれば、出発前点検で燃料漏れが見つかって機材を交換する騒ぎになることもあった。燃料漏れは引火すれば火災に発展する重大なリスクだ。
他にも非常口のサインの配線が切れていたり、欠陥のある燃料ポンプ部品が取り付けられるなどのトラブルが起きていた。整備ミスを問題視してきた日本航空乗員組合の飯田祐三・副委員長はこう指摘する。
「会社は乗客の安全にかかわる情報は、包み隠さず公開すべきだと考えていますが、機体やエンジンの整備について、どのグレードの整備をどこにどれだけ委ねているかという具体的な情報が、我々にも明らかにされていません」
海外MRO企業への委託はANAでも同様に行なわれており、やはり整備ミスが発生している。
2009年にANAで起きたトラブルは、国土交通省から異例の厳重注意が下った。同社保有の3機で、非常用酸素マスクの一部が落下しない状態のまま、2600回も飛行していたことが発覚したのである。