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2017.09.21 11:00  週刊ポスト

ステージ4の73歳がん患者「緩和ケアの最後の1年間」

仕事中にモルヒネを服用する平野さん(筆者撮影)


 翌日、高崎市内にある平野さんの仕事場(チャスコン社)を訪ねた。大型プラント施設やベルトコンベア、漬物製造機まで、幅広い分野の設計を手掛けている。

 図面は手書き。以前は“3H”など硬い芯の鉛筆を使っていたが、がんで握力が低下して“B”になった。ペットボトルのキャップを開けるのも苦労する。

「病院で検査したら、大きな大腸がんで腸閉塞を起こしていると分かって、緊急入院して即手術。肺と肝臓にも転移が見つかって、ステージ4だと。完治できないと言われましたよ」

 抗がん剤治療は選ばず、以来、緩和ケア診療所いっぽを毎月1回、受診する。取材中、平野さんはモルヒネのオプソを度々口にした。本当は、仕事中でも痛みは感じるらしい。

「うーん、不味いなぁ。水で流し込むんですよ。30分くらい経つと、すーっと効いてくるんです」

●2015年2月──

 この日、平野さんは妻の運転する車で仕事場に来た。もう自分で運転しないことにしたという。

「交差点の信号待ちで、5秒間くらい意識が途切れてしまったんだ。これはヤバイと思ったから、妻に送迎を頼みました。新しく決まった仕事が3つあるので、まだ死ねないね(笑)」

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