つまみは乾き物中心だが、冷や奴には削り節をかけてくれる心遣いも

「マスター(宏昭さん)って、普段はまず飲まないんだよね。でも誰かの誕生日とか何かおめでたいことがあるときには、一緒に飲んでくれる。優しいところもこれまたたまんないんです」(30代、製造業)

「親父がやっていたころは、親父に任せるのが本筋でしょ。それがいなくなってしまった(先代は突然の他界だったとのこと)んで、自分がしっかりしないといけないですからね。本来、明るいキャラなんですよ(笑い)。酒は飲めないことはないんだけど、いつも飲んでいたら商売に差し支えるからね。でも、お客さんにおめでたいことがあったら、その時は一緒に喜びたいじゃないですか。だからその時は飲んじゃう」

 これが彼らの誉め言葉に対するご主人のさわやかアンサーだ。

「今はもう店の看板娘を引退したみたいだけど、先代女将(澄子さん)も素敵で面白かったんだよ。酒をこぼすとね、『国家的損失だ』って、いつも小言を言われてねえ。これが他所にはない、いい肴だったよ。たまには、またあれ聞きたいなあ」(60代、製造業)

「そう、いい店なんですよ。さらに言えばね、ここに焼酎ハイボールがあってよかった。この酒って、甘くなくて飲みごたえがあるんで、いつ飲んでもうまいんですよね。この酒が一番落ち着けるんです」(50代、造船業)

 主人の宏昭さんが正式に2代目を継いだのが平成22年。「どこにも何にも縛られず、仲間を大事にして、地域密着。これが親父から学んだことかな。自分としては、いつも明るい店でありたいと思っているだけですけど」

 取材時に、カメラマンが、主人にレンズを向けると、「えっ、マスターって、こんないい笑顔を持ってたんだ。特別メニューじゃなくて、いつも見せてよ」などと、客から合いの手がいくつも入る。

 すでに大事な仲間がいて、いつも明るい店になっていた。

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