高市早苗・前総務相は、「放送局が政治的な公平性に欠ける放送を繰り返した場合、電波停止を命じる可能性がある」と言及して放送メディアの政権批判に縛りを掛けようとした。義家弘介・前文科副大臣も加計問題で省内の内部告発者の処分に言及し、役所の自浄作用を権力で押さえ込もうとした。まさに“恐怖政治”への道である。
「君主は愛憎で人を判断してはならない」とは、名君と呼ばれた幕末の薩摩藩主・島津斉彬の言葉だ。斉彬は下級武士だった西郷隆盛や大久保利通の能力を見抜いて登用し、明治維新の礎をつくった。
しかし、安倍政権では能力ではなく、首相のお気に入りというだけで重職に抜擢されたため、無能な大臣たちが国を危うくするという事態を招いた。北朝鮮危機のさなかに不祥事隠し、失言を連発して官僚掌握力の欠如を露呈し、防衛省ばかりか政権を混乱に陥れた稲田朋美・元防衛相はその代表格だ。
他にも、「私の頭脳が対応できない」と野党質問の意味さえわからなかった金田勝年・前法相、それを見てきた江崎鐵磨・現沖縄北方相は、「(国会で)立ち往生しないように官僚の作文を読む」と言い切った。
大臣の任にたえることが出来ない、この国の政治に必要ない政治家だろう。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号