国内

発達障がい少年が焙煎する珈琲 ショップオープンに大反響

焙煎が追いつかないほどの人気

 彼の名は、岩野響(ひびき)くん。15才の珈琲焙煎士だ。小学3年でアスペルガー症候群と診断され、中学で不登校になった。施設に入るものの、自分に合うものはなかなか見つけられなかった。そんな彼がこの春、高校進学はせず、自らの珈琲豆販売店を開店。

「500円でも自分の力で稼げるように」、そんな両親の思いを大きく上回り、わずか2か月後には、焙煎が追いつかない爆発的人気を呼んだ。

 障がいを受け入れ、自立への道を切り拓く、奇跡のような家族の軌跡を両親に聞いた。

 * * *
 いろいろ試した中で、珈琲なら仕事としてやっていけそうだってなりました。凝り性ですから、長い時は5時間くらい焙煎機のハンドルをくるくる回してましたね。それも2年間、毎日(笑い)。

 そうして2017年4月1日、ひーくん(響くん)が自分で焙煎した珈琲豆を販売するお店『ホライズン・ラボ』をオープンさせました。開店をこの日にしたのは、新学期とか新入学のムードの中、ぼくだけ何も始まらないという後ろめたさや罪悪感を持ったまま、4月を迎えてほしくなかったからです。

 私たちのお店『リップル洋品店』にひーくんが交ざるというのでもよかったんですが、できれば彼自身が社会とつながっていけるスペースがあればと思って。前の大家さんがつくった茶室を主人が改造してお店をつくりました。

 本音を言うと、最初は売れなくてもよかったんです。ひーくんの1つの区切りとしてスタートさせたかったので。こういう15才もいるよっていう小さな発信拠点にしたかったので。

〈店名は、中3の夏に家族で行ったタイ・プーケットの海から。水平線(ホライズン)のように広く自由に生きられるように、珈琲焙煎を研究する場所(ラボ)にしたいということだった。〉

 ここはひーくんが働けるようにつくった場所だから、逆にひーくんができないことは何もないんです。できることしか置いていないので。

〈「今の環境は完全に自分の体の一部みたいになっていて、その中では問題がないんですけど、そうじゃない作業は無理なんですよね(苦笑)」

 ひーくんが言う“そうじゃない作業”とは、接客だ。実は開店して2か月目、ブログ記事が掲載されたことで、大反響となったのだ。〉

関連キーワード

関連記事

トピックス

(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
裁判が進むにつれ山上徹也被告にも徐々に変化があらわれたという(写真/共同通信社)
《引き金を引くことを生きる目的に》山上徹也被告が法廷で初めて感じた“安倍元首相の命を奪った”という強烈なリアリティー 鈴木エイト氏が傍聴席で見た“犯人の実像”
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
裁判所に移されたボニー(時事通信フォト)
《裁判所で不敵な笑みを浮かべて…》性的コンテンツ撮影の疑いで拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26)が“国外追放”寸前の状態に
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン