中畑監督は2015年限りで退任したが、現在もそのDNAは受け継がれている。
「今シーズン終盤、ベイスターズは巨人に猛追を喰らった。8月には同一カード3連敗を喫し、9月には追い抜かれたこともあった。昔のベイスターズなら、そのままズルズルBクラスに後退したでしょう。それでも、広島に3試合連続サヨナラ勝ちをするなどして巻き返した。中畑監督が4年間言い続けた『あきらめない』スピリッツが浸透していたと思います」(同前)
日本シリーズ進出を決めた広島とのCSファイナルステージ第5戦のスタメンを見ると、セカンドの柴田を除けば、全て中畑監督時代に起用された選手たちだった。
「当時、選手時代のラミレスには『あの守備では使えない』と控えに回し、中村紀洋のチームプレーを無視する行為には厳しく当たった。キャプテンの石川雄洋も覇気がないと見るや二軍に落とした。中畑監督は主力であろうと、特別扱いしなかった。そして、能力があると見込んだ若手を起用し続けることで、見事に世代交代を果たしました」(同前)
思えば、筒香嘉智はわずか4年前、わずか1本塁打に終わっていたが、いまや日本の4番に成長。この日は試合を決める2発を放つ勝負強さを発揮した。
投手陣を見ても、先発の石田健大はルーキーイヤーの2015年夏から先発ローテーション投手に抜擢され、試合を締めくくった山崎康晃はリリーフの適正を見抜かれ、クローザーに指名された。勝利投手になった三嶋一輝は2014年の開幕投手に指名するなど中畑監督時代に最も期待された投手の1人だった。
今回のCS突破で、自分が信じた選手を徹底的に起用するラミレス監督の采配がクローズアップされがちだが、中畑前監督の育成力がなければこの結果にはつながっていなかっただろう。