国内

認知症の母がババ抜き圧勝! 教科書通りでない認知症の進行

認知症の進行は教科書通りではない(写真/アフロ)

 父の急死によって認知症の80代母と向き合うことになった『女性セブン』のN記者(53才、女性)が、認知症について今一度考える。

 * * *
「認知症になるとものが覚えられなくなり、生活に支障が生じる」といわれているが、診断から4年目の母は、思いのほか普通に生活ができている。改めて、認知症の光と影を考察してみた──。

 今年の夏の家族旅行。箱根までの1時間ほどでも旅気分を満喫しようと小田急線特急ロマンスカーに席を取った。

 住宅街から田園風景、山間へと続く車窓を眺めたり、車内販売でビールを買ったりするのも楽しみ。こういうワクワク気分が認知症の母をほどよく刺激するのだ。

 ところが車内で、娘がとんでもないことを言い出した。

「トランプやろうよ」

 ゲームが“いい脳トレになる”という巷の情報を鵜呑みにしたのか、単なる能天気か。母が最後にトランプをやったのは、娘が小学生だった10年以上前ではないか。ついさっきのことを忘れるのに、トランプができるわけもない。

「やろう、やろう!!」

 孫の提案には無条件で賛成する母はノリノリだ。が、ルールを思い出せない自分に気づいたらどんなにショックか。そんな私の心配をよそに、カードは配られた。ババ抜きである。

 母は真剣に自分の持ち札に見入っている。そして母が私のカードを取る番になった。ババは私の持ち札の中。扇形に開いたカード越しに、なんと母は私の表情を窺っている! 勝負を仕掛けてきているのだ。

 理詰めで考えすぎて二の足を踏む私と違い、母は本来、直感で動く人。最近はぼんやりした表情も多くなったが、このときは鋭い眼光がよみがえり、最後までババを引くことなく、結局母が圧勝した。

◆教科書通りではない母の認知症の進行

 母が認知症と診断されたのは2013年。でもその3~4年前から同じ話を繰り返すなど、それらしい症状が出ていたので、実際は発症から7~8年経つのかもしれない。

 発症当時、認知症の母の介護体験を描いた岡野雄一さんの漫画『ペコロスの母に会いに行く』が話題になり、雑誌やテレビでも認知症が取り上げられ始めていた。私も記者として、認知症の家族として、大慌てで資料を読み漁り、知識を詰め込んでいた。

「認知症の多くは脳の神経細胞が徐々に死んでいろいろなことができなくなり、発症から5~10年で寿命を迎える」

関連キーワード

関連記事

トピックス

イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
『東宝シンデレラ』オーディション出身者の魅力を山田美保子さんが語ります
《第1回グランプリは沢口靖子》浜辺美波、上白石姉妹、長澤まさみ…輝き続ける『東宝シンデレラ』オーディション出身者たちは「強さも兼ね備えている」
女性セブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
選手会長としてリーグ優勝に導いた中野拓夢(時事通信フォト)
《3歳年上のインスタグラマー妻》阪神・中野拓夢の活躍支えた“姑直伝の芋煮”…日本シリーズに向けて深まる夫婦の絆
NEWSポストセブン
学校側は寮内で何が起こったか説明する様子は無かったという
《前寮長が生徒3人への傷害容疑で書類送検》「今日中に殺すからな」ゴルフの名門・沖学園に激震、被害生徒らがコメント「厳罰を受けてほしい」
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
『東京2025世界陸上』でスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
《テレビ関係者が熱視線》『世界陸上』再登板で変わる織田裕二、バラエティで見せる“嘘がないリアクション” 『踊る』続編も控え、再注目の存在に 
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビーカーショットの初孫に初コメント》小室圭さんは「あなたにふさわしい人」…秋篠宮妃紀子さまが”木香薔薇”に隠した眞子さんへのメッセージ 圭さんは「あなたにふさわしい人」
NEWSポストセブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン