逆に、上限値に近い場合も注意を要する。

「ヘモグロビンが増えると赤血球も増加して血液がドロドロ状態に。動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞のリスクも増加する」(栗原医師)

 異常があっても自覚症状が少なく「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、健診結果の読み解きが重要になる。

 肝機能障害を知る手がかりとなるのは「AST」「ALT」「γ-GTP」の3つ。このうち、長く肝臓を研究してきた栗原医師が重視するのは、基準範囲が5~30U/Lの「ALT」だ。

「これは、肝細胞に含まれる酵素が血液中に流れ出た量を示す数値です。日本の基準は甘く、米国だとALTの基準範囲は5~18U/Lあたりになる。20U/Lを超えた患者の肝臓をエコー(超音波検査)で調べると、多くが脂肪肝になっています。脂肪肝は肝硬変、肝がんにつながる。しかも一度失われた肝機能は元に戻りません。数値が20U/Lを超えたら『要経過観察』ではなく、『要治療』だと考えています」(栗原医師)

※週刊ポスト2017年11月17日号

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