国内

カードのポイント窃盗団からの最大の防御は「使い切れ」

ポイント窃盗団対策は「使い切れ」

 Tポイントに代表されるショッピングポイントは、買い物だけでなくヘアサロンやネイルサロンなど、利用できる場所も増え、私たちの生活の助けとなっている。そんなふうにコツコツと貯めたポイントが、ある日突然消失していたら…!? 近年増えているポイント泥棒、『ポイント窃盗団』対策を聞いた。窃盗団の手口は「リスト型攻撃」と呼ばれるものが多い。元ハッカーでネットセキュリティーに詳しい石川英治氏が解説する。

「管理が面倒くさいからと、複数のポイントの管理サイトで同じIDやパスワードを使用するユーザーが多く、そのセキュリティーの隙をついた手法です。今、世の中にはIDやパスワードといった個人情報がリスト化されて出回っています。しかも、そのリストはネットなどで手軽に手に入れることができる」

 犯人は入手したリストのIDやパスワードをハッキングプログラムを使って、不特定多数のサイトに片っ端から入力。ログインできたアカウントから個人情報やポイントを盗み取るという仕組みである。

 1990年代後半に登場した手口だが、近年のネットショッピングの普及に伴って、流出する個人情報も増加し、被害拡大につながっている。前述した通り、IDやパスワード設定の煩わしさから、同じIDやパスワードを複数サイトで使用する人は少なくない。これに対し、ポイント問題に詳しい森・濱田松本法律事務所の増島雅和弁護士が警鐘を鳴らす。

「同じIDやパスワードを使い回していると、一度情報が漏れれば、複数のサイトで被害を受けてしまう。IDとパスワードは各サイトで異なるものを設定することが被害を防ぐ近道となります。

 また被害者の多くはIDやパスワードを誕生日や携帯番号など単純なものにするなど、ITリテラシーが充分ではない。これは誰でも盗れる場所にお財布を置いているのと一緒だと理解してもらう必要があります」

 実際、Tポイントプログラムを運営するCCCもHP上で注意喚起を行っている。

《お客様には定期的にパスワードを変更することや、利用サイトごとに複雑なパスワードを設定いただくなどの対策をぜひ講じていただけますと幸いです》

 今は『1Password』や『LastPass』といった複数のパスワードを管理するアプリも存在している。だがポイント交換案内サービス「ポイ探」代表の菊地崇仁氏は、アプリよりもアナログ管理を推奨する。

「管理アプリをハッキングされるかもしれない、ネット内での管理よりノートや手帳にメモして管理することをおすすめします」

 前出の石川氏は独自の管理術を持っていると語る。

「複雑な英数の並びを1つ決めて、ヤフーなら《○○○ya》のようにサイト名を最後に加えるなど『自分ルール』を作っています」

 さらに菊地氏が言う。

「ポイントの不正使用からの最大の防御は『使い切る』こと。犯人も数百円分のポイントしか残っていなければ、リスクを背負ってまで盗もうとはしない。貯めるのではなく、早めに使い切りましょう」

 また使い切ることは「ポイント窃盗団」対策以外にも有効である。

「ポイントの場合、発行元が破綻したとしても補償されません。発行会社が倒産してポイントがパーになっても、残りポイントが少なければ悔しい思いをしなくて済みます」(ネットトラブルに詳しい一般社団法人ECネットワーク理事・原田由里さん)

※女性セブン2017年11月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン