男たちを魅了し続けてきたスーパーカー「フェラーリ」が今年で創業70周年を迎えた。創業者のエンツォ・フェラーリは、公道で走れるスポーツカーと世界最高峰のF1で戦える車という相反する理想を体現してきた。実は企業としての歴史はそう長くないが、優秀なメカニックたちの情熱が急速な発展を支えた。
モータージャーナリストの川端由美氏がその魅力を語る。
「フェラーリは美しいアート。12気筒エンジン車はひとりのメカニックが組み立て、無闇に販売台数を増やしません。それが世界中の車好きを虜にする所以です。またフェラーリは自社製品の広告を一切行なわない。F1やレースなどでの活躍によって、その価値を示してきたんです。
そして、フェラーリのオーナーになるということは選ばれた人たちの“社交界”に仲間入りを果たす意味もあるんです」
ただ、決してセレブだけに愛された車というわけではない。
「フェラーリの発展は多くの人に愛されたからです。例えばスポンサーであるマルボロの愛煙者はフェラーリファンが多い。車は買えずとも、何かで貢献したい。そんなファンを持つメーカーは他にありません」(同前)
※週刊ポスト2017年11月24日号