芸能

三浦春馬の『オトナ高校』 その「チェリート」ぶりが秀逸

番組公式HPより

 局の看板を背負うゴールデン枠はドラマの王道だが、深夜枠には実験的なアプローチによる秀作も多い。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が今クールの注目作について指摘する。

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「笑い」をテーマにしている朝ドラより、もしかしたら何十倍か笑える秀逸な深夜ドラマ。それが『オトナ高校』(テレビ朝日系土曜23時5分)です。

 とかく子どもっぽいドタバタ劇に陥りがちな「ラブコメ」ドラマですが、『オトナ高校』は一味も二味も違う。大人向けのブラックな笑いに満ちている。細部まで綿密な作り込みが効いている。下ネタが世に溢れている昨今、そんなものを単に並べても面白くも何ともない。下ネタを道具として使いこなし毒のあるパロディに仕立て、風刺的笑いに昇華させているからこそ、『オトナ高校』は面白い。

 物語の舞台は、ズバリ「オトナ高校」。性体験がない30歳以上の男女が「第二義務教育」として強制入学させられる異色の高校です。政府は深刻な少子化問題に歯止めをかけるべく、「第二義務教育法案」を立案、公的な機関として「オトナ高校」を発足させた、というブラックな設定。強制入学させられるオトナたちはもう一度、そこで青春をやり直して相手を見つけ「体験」できたら卒業。そのため、美男美女が右往左往する。

 三浦春馬が演じる主人公・荒川英人が、強い存在感を放ち光っています。東大卒業後トップバンクに入行した、正真正銘のエリートでありつつ、実は童貞。“チェリート”くんというあだ名はそう、エリート+チェリーで「チェリート」。

 自意識過剰で自己評価が高いチェリートくんだけに、自分のことは棚にあげていちいち他人の行動を批評しツッコむ。それを心中で独白するナレーションが、物語とはまた別次元で挿入され厚みを出しています。上から目線で分析ばかりしている頭でっかち男だから、卒業の目的はなかなか果たせない。

 容姿端麗なのにイヤミ、自己評価の高いタカピーな役を、三浦さんが躊躇無くとことん真剣に全力で演じているのがいい。真面目に演じれば演じるほど、その空回り感が浮き彫りになり笑いを誘う。情けなさが倍増され、おかしみが滲み出てくる。「チェリートくん」のぶれない人物造形、切れた身体感覚、滑稽な表情はまさしく、この「コメディ」の柱となっています。

 そして、生徒たちのキャスティングも実に味わい深い。例えば園部真希役は、スタイル抜群の美女ぶりで鳴らしてきた黒木メイサが演じています。設定はなんと32才の処女で不倫相手から「重すぎる」と敬遠され常に二番手に回された結果、あだ名は「スペア」。黒木さんが30過ぎの未体験スペア女とは、何ともブラックです。

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