芸能

三浦春馬の『オトナ高校』 その「チェリート」ぶりが秀逸

番組公式HPより

 局の看板を背負うゴールデン枠はドラマの王道だが、深夜枠には実験的なアプローチによる秀作も多い。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が今クールの注目作について指摘する。

 * * *
「笑い」をテーマにしている朝ドラより、もしかしたら何十倍か笑える秀逸な深夜ドラマ。それが『オトナ高校』(テレビ朝日系土曜23時5分)です。

 とかく子どもっぽいドタバタ劇に陥りがちな「ラブコメ」ドラマですが、『オトナ高校』は一味も二味も違う。大人向けのブラックな笑いに満ちている。細部まで綿密な作り込みが効いている。下ネタが世に溢れている昨今、そんなものを単に並べても面白くも何ともない。下ネタを道具として使いこなし毒のあるパロディに仕立て、風刺的笑いに昇華させているからこそ、『オトナ高校』は面白い。

 物語の舞台は、ズバリ「オトナ高校」。性体験がない30歳以上の男女が「第二義務教育」として強制入学させられる異色の高校です。政府は深刻な少子化問題に歯止めをかけるべく、「第二義務教育法案」を立案、公的な機関として「オトナ高校」を発足させた、というブラックな設定。強制入学させられるオトナたちはもう一度、そこで青春をやり直して相手を見つけ「体験」できたら卒業。そのため、美男美女が右往左往する。

 三浦春馬が演じる主人公・荒川英人が、強い存在感を放ち光っています。東大卒業後トップバンクに入行した、正真正銘のエリートでありつつ、実は童貞。“チェリート”くんというあだ名はそう、エリート+チェリーで「チェリート」。

 自意識過剰で自己評価が高いチェリートくんだけに、自分のことは棚にあげていちいち他人の行動を批評しツッコむ。それを心中で独白するナレーションが、物語とはまた別次元で挿入され厚みを出しています。上から目線で分析ばかりしている頭でっかち男だから、卒業の目的はなかなか果たせない。

 容姿端麗なのにイヤミ、自己評価の高いタカピーな役を、三浦さんが躊躇無くとことん真剣に全力で演じているのがいい。真面目に演じれば演じるほど、その空回り感が浮き彫りになり笑いを誘う。情けなさが倍増され、おかしみが滲み出てくる。「チェリートくん」のぶれない人物造形、切れた身体感覚、滑稽な表情はまさしく、この「コメディ」の柱となっています。

 そして、生徒たちのキャスティングも実に味わい深い。例えば園部真希役は、スタイル抜群の美女ぶりで鳴らしてきた黒木メイサが演じています。設定はなんと32才の処女で不倫相手から「重すぎる」と敬遠され常に二番手に回された結果、あだ名は「スペア」。黒木さんが30過ぎの未体験スペア女とは、何ともブラックです。

トピックス

(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン