さらに産経はWEB版(18日)でも、〈足立氏のツイッターには「足立さん!刺されない様に気いつけて下さい」などと擁護する書き込みであふれた〉──と、足立氏擁護にみえる“朝日批判”を展開しているのだ。
加計学園疑惑については、朝日が安倍首相を追及したのに対して、産経は一貫して政権擁護の姿勢を取ってきた。だが、今回の「朝日、死ね」論争は政治スタンスの違いではなく、子供の口喧嘩かと思えるレベルの誹謗中傷合戦だ。
◆産経の部数を晒す
両紙がこれほどまでに“遺恨”を深めた原因と思われる記事がある。
朝日は11月3日付朝刊で、産経WEB版が「日本を貶める日本人をあぶり出せ」という見出しのコラムを配信したことを五段ぶち抜きで報じ、「『非国民狩り』を提起していて、もはや報道ではなく憎悪扇動ビラ」という批判のツイートを紹介。さらに、「新聞全体の部数が減少傾向の中、産経は『国益に奉仕しないものは排除する』という主張に共鳴する固定層をつかむ戦略で、部数や影響力を保とうとしているのではないか」という識者のコメントを報じ、産経の部数は約150万部だとわざわざ指摘した。
部数の落ち込み幅は朝日の方が大きいが、それでも朝日は624万部(2017年4月。ABC協会調べ)ある。その「大朝日」が、“産経は150万部しかないから苦し紛れに過激な主張をしている”と読める内容だ。
産経がこの記事にカチンと来て、“朝日憎し”を強めたことは想像に難くない。元朝日新聞論説委員の高成田享氏は、「間違いに対しては反論すべき」とした上で、行き過ぎを懸念する。