「映画の作り手は、もちろん、被害者の側の意識を忘れてはいけないと思っています。映画を作る上では、事件の状況を脳内で再現してから、それをどうエンターテインメントに変換していくかという行程を経る。そのなかで被害者の目線を意識しないわけがないんですよ。
ただし、映画がエンターテインメントである以上、観客にまでその意識を気負わせる必要はないんじゃないのかというのが僕の考えです。観客までが被害者について深く考え込まなければならないような映画にはしたくない。観客には、純粋にこの映画を面白がってほしいんです」