◆合法であることが問題
“出産偽装”のような悪用は言語道断だが、冒頭で挙げたようなケースは、ビザを不正取得したり、親戚になりすましたりしていないのなら、違法ではない。建前上の留学や法人設立もグレーではあるが、合法、違法の線引きは難しい。
要するに、この問題の本質は、外国人を日本人と同じように扱い、緩い基準で健康保険に加入させて恩恵を与えている点にある。前出の小坂区議はこう憤る。
「日本の健康保険は、若い頃に高額な保険料を負担させられ、高齢になってようやく元が取れるシステムです。
ところが、外国人の場合、本国でどれだけ高収入を得ていても、日本で無収入なら保険料は最低額で月何千円しか払わない。数年で国に帰るような人に出産育児一時金をあげたり、高額医療を格安で受けさせたりするのはおかしい」
日本の国民医療費は42兆円に達し、保険料だけでは足りず税金が投入されている。外国人に大盤振る舞いする余裕があるのかということだ。この問題について厚労省に見解を聞いた。
「今年3月から留学や経営・管理ビザを不正に取得して健康保険を利用している事例を全国の自治体で調査しています。自宅を訪問するなど手間のかかる調査で、まだ結果は出ていません」(国民健康保険課)
調査結果を踏まえて制度の見直しを検討するという。