国内

「外国では…」 とにかく気持ちいい“出羽守説法”の万能感

ネットニュース編集者の中川淳一郎氏

 海外や他業界などをあげ、「○○では」と何かにつけて他者の例を引き合いに出して語る人のことを「出羽守(でわのかみ)」と呼ぶ。もちろん皮肉を込めた言い方だが、出羽守と揶揄され続けても、そういった発言を繰り返す人がSNSでは後を絶たない。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、出羽守と呼ばれようがやめられない“出羽守説法”の魅力について、考察した。

 * * *
 日本共産党の前衆議院議員・池内さおり氏が、『フランスに行った時、女の裸や「媚びた」写真が公共空間に存在しないことに私は驚き、安全さを感じた』とツイートし、日本のコンビニに雑誌の「成人コーナー」が存在することを批判した。それに対し、フランスのキオスクに成人雑誌が堂々と売られていることや、胸も露わにした女性の裸が写った広告の写真を彼女に向けて提示し、フランスにも女の裸や「媚びた」写真が公共空間に存在しているとの反論が寄せられた。

 こうした「○○では~」式の形で日本がいかに遅れているかを示す際に活用される国はフランス、ドイツ、オランダ、北欧、カナダ、オーストラリア、シンガポール、そしてオバマ時代のアメリカだが、基本的には「人権先進国」的文脈で使われる。こうした件について東南アジア、中東、南米、アフリカの国々は蚊帳の外になりがちなので、私もけっこうな頻度で行く「タイでは~」と「出羽守」になってタイの文化や風習から学んでもいいのでは? ということを書いてみる。

 タイでは様々な面で寛容さがありつつも、明確な規律も存在する。我が国(これを書いてみたかった)も参考にすべきところがあるかもしれない。寛容さについてだが、バンコクの水上バスは濁った運河を猛スピードで駆けていく。となれば、水しぶきがかかってしまうが、座席の両端の乗客が吊り輪のついた紐を引っ張り、縮まった覆いを広げ乗客に水がかからないようにしてやるのだ。

 料金を払うにあたっても、横長の席の中央に座る乗客が船の縁に立つ集金人に渡すには複数人の手を経、お釣りも彼らの手を経る必要がある。これが自然な行為として定着している。日本であれば、「人の手を煩わせてはいけない」的な雰囲気になり、そもそも手動ではない形の覆いを作ることや、ICカードの導入が要望されることだろう。しかしながら「お互い様」の精神がタイには根付いている。こうした行動を躊躇することなくできるタイの人々の温かさを見習いたいものである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン