実は日本でも年々、外国人労働者が増加している。厚生労働省がまとめた外国人雇用の届け出状況(2016年10月末現在)によると、外国人労働者数は108万3769人で、前年同期より17万5873人増え、2007年に届け出が義務化されて以来、過去最高を更新しているのだ。

 外国人労働者が就労している仕事のほとんどは付加価値が低く、語学が不十分で習熟度が浅くてもできるため給料が安い。ところが、日本はまだ外国人労働者が少ないので、そういう職場でも日本人が混在して働いている。たとえば、飲食店やコンビニなどである。それらの過当競争になっているサービス業を中心に、労働集約型で機械化できない職種の多くは賃金を上げたら成り立たないため、人手不足でも賃金が上がらない。

 そういう仕事が社会のかなりの部分を占めているから、日本人全体の賃金も頭打ちになってしまうのである。つまり「人手不足なのに低賃金」というのは、パラドックスでも何でもない。論理的に説明できるのだ。

 もう一つの問題は、逆に人が余っている業界で人員整理ができずにいることだ。日本の製造業は円高が進んだ1980年代に生産性を上げて競争力を維持するため、機械化・自動化を推し進めるとともに工場を海外に移した。その結果、国内には人員が多くて効率の悪い間接部門だけが残った。定型業務をやるホワイトカラーは付加価値をほとんど生まないので、全体の生産性を大幅に下げている。

 日本企業はAI(人工知能)やICT(情報通信技術)を駆使してこの人たちの削減を進めることをしなかったから、給料を上げられないのである。

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