国内

“地道銭”の尊さ 59才ダンサー「体で稼いだ1000円は重い」

アラ還女性たちのリアルなお金事情

 女性セブンの名物アラカン記者“オバ記者”こと野原広子が、同世代女性のお金事情について語る。

 * * *
 60才で大手不動産会社を定年退職した友人・M子(61才の夫・34才の息子と埼玉県で3人暮らし)が、やっと得た仕事は、マンションの管理人。仕方なく始めた仕事だけど、すぐに汗をかくよろこびに目覚めた、という話を前回した。

 けど、それを独身の私がやるとなると問題は収入。都の最低時給958円でめいっぱい働いたところで、手取り約15万円。家賃、光熱費、通信費を払ったら、この都心でどうやって生活していくのか…。その答えを探して、いざ!

◆映画出演もしたプロダンサーが深夜の食品工場でバイト

「家賃なら安いところへ引っ越せばいいけど、私は景気のいいときに分譲マンションを30年ローンで買ったんで、売っても、残るのは借金だけ。引っ越しもできなかった」

 そう言うのは、幼友達でダンス教師のK美(59才・独身)。最盛期は分刻みのレッスンで、月収40万円以上稼いでいたが、今、生徒は日に1~2人。月収10万円あればいい方だそう。

「まず貯金を取り崩し、貴金属など売れるものは全部売って月9万円のローンを払っていたけど、それが底をついたとき、夜間の食品工場にパートに出たの」

 1年半前のことだ。時給1200円。夜10時から深夜2時まで、4時間の倉庫作業を週に5日で、月収は約9万円。ダンス教師の仕事と合わせても、20万円に届かない。

 かつて、ダンスのプロB級が目前で、競技会などのデモンストレーションで数曲踊れば20万円の謝礼が出た。衣装は1着40万円。市川崑監督の映画『鹿鳴館』の舞踏会シーンで踊ったこともある。

「どんなことがきつい?」

 長澤まさみの25年後のような顔立ちのK美。華々しい経歴を知っている私は、現状をどう思っているか、聞かずにいられない。

「パートの面接官からは『あなたのような仕事をしている人がどうして?』と必ず聞かれ、仕事仲間からもそう。そのたびに、『生徒の高齢化で月収が落ちた』って、ありのままを話すしかない。ああ、またその質問かと胸がチクンと痛むんだけど、月々のローンを払って生活しなきゃならない方が先。必死よ」

 慣れない伝票整理や、引き継ぎの仕方でミスを連発して、「これが続くようだったら…」と暗にクビを警告されたこともある。

 だけど、「体を動かすのが苦にならないし、わからないことはすぐに責任者に聞く」という姿勢を、「やる気がある、働き者」と評価する社員もいた。首の皮一枚でクビをまぬがれたと聞かされたのは、ずっと後のこと。

◆気を使って働くより、体で稼いだ1000円は重たい

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン