ビジネス

企業が不要な人員を解雇できるスウェーデン式ルール

大前研一氏が雇用問題について語る

 企業が賃上げをしない一方、建設、飲食、運送、医療、介護などの業界では人手不足が深刻だ。逆に、人が余っている業界のひとつ、銀行では、メガバンクが次々と人員と業務量の削減を発表した。経営コンサルタントの大前研一氏が、名目賃金が20年にわたって下がり続けている日本の雇用環境を打ち破るために、雇用ルールの変更を提案する。

 * * *
 人余りのトピックスの一つに、三越伊勢丹ホールディングスの早期退職制度の見直しがある。早期退職の対象を50歳から48歳に引き下げるとともに、退職金を部長級は最大5000万円上乗せし、課長級は最大で倍増させて、バブル期に大量入社した総合職を中心に管理職の早期退職を促し、高止まりしている人件費の圧縮を図るという。

 だが、この制度だと、会社としては最も残ってほしい人材が先に退職する。なぜなら、そういう人材は他社から引く手あまたで、のし紙を付けて再就職の斡旋をしているようなものだからである。逆に、他社で使いものにならない人は、今いる会社にしがみつくしかない。したがって、会社はますます衰退していくことになる。

 だが、三越伊勢丹ホールディングスは、そこまでしてでも辞めさせたいということだ。なぜか? 日本の場合、従業員を簡単には解雇できないからである。

 そもそも百貨店業界は、もはや斜陽どころか“死に体”である。なぜなら、eコマースが拡大し、ゾゾタウンやバイマなどがますます成長しているからだ。

 たとえばバイマの場合、エスクローで海外の商品が「現地価格+10%+送料」で手に入る。そういう時代に百貨店は、海外の何倍もの値段でバイマと同じ商品を売っているのだから、売れるはずがないだろう。平日に百貨店の店内を歩くと、客よりも店員の数のほうが多い。もはや百貨店は業態的に終わっているのだ。

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン