「犯罪被害者やその家族とお話をしているといたたまれない気持ちになることがある」と語る小川氏は、彼らから相談を受けることも少なくない。1996年に起きた葛飾柴又・上智大生殺害事件で被害者となった女性の両親とは今でも交流が続く。
上智大学4年生の小林順子さん(当時21歳)が自宅で殺害、放火された事件。焼け跡の2階寝室から、粘着テープやストッキングで手足を縛られ、首を数か所刺された順子さんの遺体が見つかった。遺体に掛けられた布団に付着していた犯人のものと思われる血液のDNA鑑定から、A型の男と判明している。事件直前に順子さん宅を見ていた身長約160センチの不審な男の似顔絵もあるが、いまだ犯人は見つかっていない。
「ご両親は事件を風化させたくないとの強い思いから時効撤廃の運動にも積極的でした。2013年前に茨城大学の女子学生が殺された事件では、今年9月にフィリピン人の犯人がついに逮捕されました。そのニュースを見た柴又事件のご両親は『次こそ娘の事件を』との気持ちを強くされています」(小川氏)
※週刊ポスト2017年12月22日号