芸能

羽田圭介 『情熱大陸』と他の密着番組の違いは台本不在の点

羽田圭介が「情熱大陸」密着時を明かす(番組HPより)

 人物に焦点を当てる人気番組『情熱大陸』(MBS制作・TBS系列放送)はどのように作られているのか? 出演者については、芸能事務所や本人、知人、出演者からの紹介など年間1000本ほどの候補からスタッフが吟味する。社内で企画が通らなければ採用されることはない。

 その後、じっくり半年間以上打ち合わせを重ねたり、最長5年も密着取材をしたりと、30分番組にかける熱意すごい。

 実際に『情熱大陸』の密着を受けた芥川賞作家の羽田圭介さんに撮影の裏側を出演者目線で語ってもらった。

 * * *
 ぼくの小説『成功者K』(河出書房新社)に登場する“密着番組”のモデルは言うまでもなく『情熱大陸』です。

 作中人物が番組に激怒しているので、「『情熱大陸』に怒ってるんですよね」とよく聞かれますが、怒っていませんよ(笑い)。密着は2015年10月から2か月弱。売れない頃は番組に強い憧れがありました。7月半ばに芥川賞をとり、「『情熱大陸』来るかな」と思ったら意外と来なくて他番組の密着などに散々出た後だったので、正直「今さら? ちょっとめんどくさいな」ぐらいな感じでしたね(笑い)。

 現場を移動する際のタクシーで密着するパターンが多く、「アッシーくん、ラッキー」なんて喜んでいましたが、タクシーの密着はいかにも『情熱大陸』っぽい。「密着されて大物になった気がする」と感じる瞬間があったのも、事実です(笑い)。

 他の番組の密着を先に受けていたからこそ相対化して感じるのは、どの番組も“こういう画を撮りたい”という明確なプランがあって、ピンポイントで必要な画を撮影していく。そんな効率最優先の作り方なのに対して、『情熱大陸』は最初から台本を作っていないところが大きく違う。

 つまりは二十数分のオンエアに対して膨大な素材を撮らなくてはならなくて、撮る方も撮られる方もお互い疲弊するんです。

 楽屋で昼寝中に1分で出て行くという約束を5分以上撮影された時には声を荒らげました。「羽田さんの素顔が見えない」と、いつのまにか電話番号を教えてもいないぼくの友達に連絡を取っていたのは唖然としましたが、それも小説を書くうえでいいネタになりました。

 ただ、請求書を作成しているところを撮られていて、50万円という大きな金額をクローズアップされて放送されたのは腑に落ちない。

 気を抜いたぼくも悪いですが、「あれを使うのかよ!」って。

 現場のディレクターさんはもっと地味で骨太なものを作りたかったみたいなんですが、キャッチーな画をつぎはぎする番組作りを好む強い意見もあったみたいで。そうした制限の中で作られたということを考慮し、満足度は70点です(笑い)。

※女性セブン2018年1月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン