熟女好きの間で話題に
●演出は?
松居さんの会見の演出・構成は、周到に計算されていました。まず8時30分スタート。民放各社のワイドショーが放映される時間帯を見計らい、LIVE映像が入ることも可能なタイミングを狙った。まるで、「民放各社をのっとった“朝ドラ”」のよう。人の興味を惹く巧妙な演出も。終了3分前に突如、実家へ生電話し「母ちゃん、母ちゃん」を連発、妙なライブ感に包まれ、スタジオも視聴者もぶったまげました。
一方、藤吉さんの場合は何より夫・太川陽介さんの会見との「セット構成」が絶妙でした。まず太川さんが所属事務所で会見し疑念を前提とした上で、敢えて「僕は妻を信じる」「守る」と全面擁護。数時間後に会見予定の藤吉さんについて、「お手柔らかに」とマスコミ陣へフォローまで。あとは妻が号泣の一色。
太川さんの会見には絶賛が集まり「男を上げた」「神対応」と褒めちぎられました。が、対象的に、「怖い」という声も主に女性からあがりました。
「(太川さんが)すごい怖いなと思った。世の中に寝取られ男だと思われることがみっともないし、怒り狂っているはず。でもその気持ちを抑えて寛容な夫を完璧に演じたというのは、妻を守るというよりも自分の体裁を守るための会見だったかなと思った」(西川史子さんのコメント)
完璧すぎる構成、水も漏らさぬ用意周到ぶりがむしろ不自然さ不信感につながることもある。太川さんの「支配」の影をそこに感じとってしまったのは、西川さんだけでなく多くの女性たちだったかもしれません。
●脚本・筋立て
松居さんの会見の「脚本・筋立て」はイマイチといわざるを得なかった。なぜなら、「勝利宣言」という軸でストーリーを回そうとしたけれど視聴者にとっては「?」だったから。「勝利」の中味が、よくわからなかった。松居さんは事業で大成功した資産持ちなので、「財産分与しない」という決着が、ご本人にとっての「勝利」だったらしい。しかし、そのあたり細かな事情を知らない人にとっては、ちょっと理解しにくいオチでした。
むしろ、元夫が所属する巨大芸能事務所・ホリプロを相手に「情報開示しない約束にもかかわらず先に離婚情報を流した、約束違反を許さない」などと、「大義」「正義」をふりかざして攻めた方が“劇場型”としては面白く、かつ視聴者の同情を買えたかもしれません。おそらく名誉毀損で訴えられて、そのあたり手足を縛られていたのでしょうけれど。
一方、藤吉さんの会見は誰がセリフを書いたのかわかりませんが、「もう彼がいないと生きていけない」はあまりにクサすぎる、との感想も多く聞かれました。あわせて「潔白を主張しているのに、泣いているその理由がわからない」という声も。「泣き逃げ」に終始した筋立てでしたが、十分な納得感を与えられなかったかもしれません。
様々な見方、受け取り方があるにせよ、「ドキュメンタリードラマ」の面白さが際立った2つの会見でした。