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北の漂着船 元軍人の漁師を強制送還すると1人83万円かかる

◆血税で行われる強制送還

 漂着した木造船は産業廃棄物となるので、1隻あたり150万~200万円の処分費用が必要となる。さらに処分されるまでの間、自治体職員が船が流失しないようロープでつなぎ留めたり、見回りを行ったりしなければならないので自治体の負担は大きい。

 乗組員を北朝鮮へ強制送還する方法と費用も気になる。強制送還する場合、費用は自己負担となるのだが、北朝鮮の乗組員は送還費用を自己負担する能力がないので、全額国費となる。

 強制送還に必要な費用は、送還に伴う航空運賃や宿泊費、食費は、本人だけでなく、安全を確保するために同行する護送官の分も必要になるので、1人当たり平均約83万円といわれる。

 2014年には旅客機をチャーターしてスリランカ人26人とベトナム人6人を強制送還している。チャーター機はベトナム経由でスリランカへ向かい、2か国に不法滞在者を引き渡した。この時かかった費用は約4000万円だった。チャーター機を使ったほうが、個別に送還するよりも安上りなのだという。

 今回の乗組員上陸にともなう問題は、朝鮮半島有事の際の避難民、金正恩体制崩壊後の経済難民についても同じことがいえる。大量の難民を一度に北朝鮮へ送還する場合は船が使われるのだろうが、それでも何万人にもなる難民を送還するとなると数千万円では済まない。

 それにしても、日本は北朝鮮にどこまで付き合わされ、振り回されるのだろうか。

■撮影/宮田敦司(男鹿半島の看板)

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