自由主義経済の下では、モノの値段は「需要と供給の関係」で決まる。売れなければ価格を下げる。それが何にも勝る販売促進法である。
すでに、値引きに突入している新築マンションも多い。大規模マンションで百戸以上が完成在庫になっている物件では、ちょっとやそっとの値引きでは完売が見えてこない。そこで、デベロッパー側も思い切った「値引き予算」を計上しているケースがある。
モデルルームを訪問し、商談コーナーの席に着くや否や、販売担当者からいきなり「このマンションでは一律500万円の値引きを行っています。それに加えて……」などと切り出されるケースもある。デベロッパー側も相当焦っているのだ。
湾岸エリアで竣工後も販売を続けているあるタワーマンションでは、エントランスロビーを行き交う人々のほとんどが東アジア系の外国語を話しているという。そのことを質問すると、販売センターの担当者は「このマンションの外国人割合は15%未満です」と答えるとか。しかし、その次には必ず「今なら○○万円のお値引き枠がございますが、いかがでしょう」と持ち掛けてくるらしい。
値引きをしているマンションを見分ける方法をお教えしよう。以下のような状態にあるマンションは、一部のデベロッパーが販売している物件を除き、ほぼ100%で何らかの値引きを行っていると考えてよい。
◆建物がすでに竣工しているか、完成が間近に迫っているのに2ケタ以上の戸数を販売している。
◆オフィシャルページのトップに「100万円プレゼント」とか「家具付き」など、販売に焦りを感じる表示がある。
◆同じく「モデルルーム使用住戸に付き新価格」というような表示がある。
販売側は3月決算に間に合わせようと、それこそ必死になる。
「○日までに契約していただければ○○万円の値引きが可能ですが、それ以後は分かりません」とか「他に検討している人が何人もいますから、今すぐ決めてください。でなければ買えなくなります」といったトークを繰り出してくる。しかし、そういうのは不動産営業の発する常套句だ。フェイクであることがほとんど。
大切なのは「○○万円の値引き」という額ではない。値引き後の価格が適切かどうかだ。そもそも、高いから売れ残り、完成在庫になっているのだ。「○○万円の値引き」後、市場性のある価格になっているのかどうかをしっかり見極める必要がある。
また、3月末までに引き渡すためには、少なくとも3月の半ばまでには売買契約を終えなければならない。そこを過ぎるともはや「来期」物件となり、販売側の緊張感が薄れる。