ビジネス

新築マンション 3月までは値引き購入チャンスだが落とし穴も

お買い得物件は値引き額より大切な見極め方がある

 新築マンション市場で今、静かな変化が起きている。「完成在庫」が溜まってきているのだ。いわゆる売れ残りは値引き購入のチャンスといえるが、「デベロッパーの常套句を鵜呑みにしてはいけない」と指摘するのは、住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。

 * * *
 通常、新築マンションの販売は建物が完成する1年~1年半前から始まる。一部のデベロッパーを除いた各社では、建物が完成する時点ですべての住戸の購入契約が締結されることが理想とされている。

 しかし最近、目標通りに販売活動を終える物件が少なくなってきている。建物が竣工した後も販売活動が続いている物件を「完成在庫」と呼ぶ。

 新築マンションの開発事業を行う場合、デベロッパーは土地の購入費や建物の建築費を支払う資金を銀行からの融資で賄うケースがほとんど。この融資は、マンションの売却が成立して引き渡しが行われた時点で、購入者から支払われる販売代金で返済される。

 売買契約が成立せず、販売代金が入ってこない場合は融資を返済できない。その場合は金利を支払い続けることになる。デベロッパーにとっては予定外の出費だ。したがって、ほとんどのデベロッパーが建物が完成するまでにすべての住戸の売買契約を終えようとするのだ。

 ところがここ数年、新築マンションの価格は目に見えて高騰してしまった。特に東京の都心やその周辺、大阪市や京都市の一部では驚くほど価格が上がっている。

 一方、マンションを購入する側の個人所得にはほとんど変化がない。それどころか、消費税や各種公共料金などが上昇した結果、統計的に見た個人の可処分所得は減少気味だ。唯一、住宅ローンの金利は過去最低水準だが、年収の7倍から8倍の融資を受けるというリスクを取る人はさほど多くない。

 その結果、価格が上昇した新築マンションの多くが完成在庫となってしまった。

 今、東京の都心や城南エリア、首都圏の郊外、大阪市や京都市の一部では新築マンションの完成在庫がジワジワと増加している。そして、多くのデベロッパーは3月末に決算を迎える。完成在庫は1戸でも多く減らしたい。そうなると、何が起こるのか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン