ライフ

おっさんはどう生きるか 吉野源三郎を読んで考えてみた

自分を信じて生きたい(写真:アフロ)

 冷たい冬の乾いた空気に身の引き締まる思いがする、そんな時こそ好機だ。コラムニストの石原壮一郎氏が提言する。

 * * *
 新しい一年が始まりました。せめてこの時期だけは「今年こそ!」の気持ちを抱いて張り切りたいもの。おっさんはおっさんなりに、「ひと味違う一年」「ひと味違う自分」を目指しましょう。結局は変わり映えしなくても、目指すことに意義があります。

 そのための指標としたいのが、ベストセラー街道を突っ走っている本『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。およそ80年前に書かれた吉野源三郎の同名の名作を、『昼間のパパは光ってる』などで知られる羽賀翔一が漫画化しました。去年8月に発売されて以来、どんどん注目度が高まり、100万部を超えるとか超えただかの勢いです。

 主人公は中学生のコぺル君。何かと悩み多き年ごろのコぺル君に、勤めていた出版社が潰れて失業中の「おじさん」が、さまざまなアドバイスを贈ります。本が発している熱いメッセージは、もともとの対象である若い世代だけでなく、おっさんを含む幅広い世代に強く響いています。いわばこの本は「おっさんはどう生きるか」を指し示す一冊でもあると言えるでしょう。

 たくさんのメッセージから、おっさんとして強く受け止めたいのは次の3つ。とりあえず2018年は、このあたりを胸に刻んで生きてみましょう。 

その1「まわりがどんなに間違っていると言っても、自分の意見や考えを信じ抜くべし」
その2「自分が正しいと思ったことや感動したことは、ちゃんと言葉にして伝えるべし」
その3「誤りを犯したときには、勇気を出してそれを認めることで大きく成長できる」

●その1「まわりがどんなに間違っていると言っても、自分の意見や考えを信じ抜くべし」

 おじさんが少年に「コぺル君」というあだ名をつけたのは、彼が銀座のデパートの屋上で「コペルニクスの地動説」にも匹敵する大発見をしたから。子どもの頃は誰もが自分を中心に世界をイメージしていますが、大人になると自分も世界を構成する分子のひとつだということに気づきます。コぺル君はそのあだ名が気に入って、あくまで自分の考えを曲げなかったコペルニクスのようになりたいと考えます。

 おっさんには、まわりと意見を合わせなければならない場面が少なくありません。欅坂46で誰がかわいいかという議論になったときに、たとえ上司と意見が分かれても最後まで「私はずーみんだと思います!」と言い張る。あるいは、髪形を大胆に変えた同僚が周囲から口々に「似合うよ」と言われていても、そう思わない場合は「いや、前のほうがよかったよ」と言い張る。そんな生き方を目指しましょう。少なくとも、心の中で異を唱え続けることが大切です。

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン